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雑体書とは?

雑体書

雑体書とは、確実な定義がないことはおろか、存在さえも怪しいところに立っています。 いわゆる楷書・行書・草書・隷書・篆書に当てはまらないものを指すことになりますが、 一番の要素は「文字に呪術的要素が含まれていた名残」ではないかと思います。
また、書に絵画的な要素が含まれている、これも雑体書になると思います。
では、どのような点が誇張されたりしているのでしょうか。

1 筆画の誇張

大袈裟にしたり、普通にはやらないような 書きぶりをみせたりしているものを指します。特に、隷書の書きぶりである波磔などが大 袈裟になったものが多いです。
また、実際払いをするところが煙がもくもく上がるかのように上昇していったり、 筆画に妙なうねりが存在したりと、さまざまです。空海が得意とした「飛白」が良い例と思います。
中国の秦以前の金文などは、この例に当てはまります。

2 文字に生き物がいる

「八幡宮」という扁額をみますとたまに「八」の字が鳩で構成されていたりします。 また、長野市の善光寺の扁額は通称「鳩字の額」として有名で、鳩が字を構成しています。
詳しくはそれぞれの書を御覧になっていただければと思いますが、払いが虎の尻尾や 爪のようになっていたりするパターンがよくあります。
もっと極端なものになると、人文字のような姿に出会うこともあります。

3 文字に器物が表現される

革堂の額をみますと、 「現」と「尊」の字に宝珠が隠れています。文字に器物が含まれる例です。 これを遊びの要素と見るか、何かへの願いとみるか。江戸時代にはこのような 書が結構あったといわれています。

4 文字に植物が表現される

平安時代になると「葦手」と呼ばれる書体が出現します。文字のような絵のような、 謎掛けのような装飾のような、不思議な書体です。
ここにいう「葦」は植物の葦の葉で、葦の葉のような姿の筆画をした書ということ らしいのですが、だんだんと薄れ、絵画表現のような書を「葦手」というようになります。
平安時代から鎌倉時代の遺品にその姿を見ることができます。
また、篆隷文体にあるように、花やキノコを書に取り込んだ例もあります。

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