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長谷寺 仁王門(奈良県桜井市)
○データ
・書:長谷寺
・筆者:後陽成天皇(1571〜1617)
・年代:江戸時代初期
○みどころ
起筆と収筆に力を入れて書く姿ですが、「長」
の字の横画はやけに細く、特に5画目の横画の細さは
そのぶんだけ起筆・収筆の拳のような形を目立たせています。
この拳の姿もよく見てみますと、起筆は菱型のように、
収筆は丸くまとめています。
「谷」の字はドロッとした姿、点の書きぶりもですが、
口の部分は小さいところでありながらも揺れ動く筆がまざまざと見えます。
「寺」の字は比較的まともに見えますが、起筆、収筆の誇張は極まり、
しかも最後は渦を巻くかのように終えています。
いわゆる雑体書に分類されるモノですが、このような書き振りが何を参考に
出てきたものか、見ていく必要があるようです。