鳳凰の特徴として、さまざまな尾羽があります。尾羽を除けば大体の姿は同じなのですが、
逆にいえば、尾羽が鳳凰の特徴を際立てているといってもいいでしょう。
鳳凰だからみな同じ、と言うことはありません。あえて同じというならば、組み合わせが
桐か竹(時には牡丹も)というくらいです。
この2枚はいずれも北野天満宮三光門(慶長12〔1607〕年)の鳳凰の尾羽です。のこぎりの葉のよう
なので「鋸歯型」とでもいいましょうか。もとは同じですが、尾羽の刻み具合が左は細やか
であるのに対し、右のはやや大雑把です。
筆者の見た限り(といっても数は限られますが)、この型を見かけることが特に多いです。
これは北野天満宮拝殿(慶長12〔1607〕年)の鳳凰の尾羽。唐草のようになっていますので 「唐草型」とでもいいましょうか。どちらかといえばデザイン化された姿です。これがもっと デザイン化されると次のようになります。
仁和寺唐門の鳳凰の尾羽。時代はグッと下がって大正3(1915)年の再建。牡丹唐草など と区別のつきようがない姿です。
図版がないので出せませんが、絵画では孔雀の羽のように表現されるパターンがあります (不思議なことに、絵画はこのパターンが多いといいます)。 そして最後は複合型を紹介します。
城端曳山祭東耀山の鳳凰。大正時代のモノになります。よく見ますと孔雀のような 羽の部分、鋸歯型の羽の部分、そして唐草型の羽の部分とがあります。
当然、時代や地方性などから違いは出てくるでしょうが、鳳凰の尾羽ひとつとっても ここまでの違いがあります。問題はどういうモノがモデルとなって、普及していったか。 同じ鳳凰なのですが、図像の違いを探し出すには面白いかもしれません。
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