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麒麟の顔
麒麟の顔はほぼ一定しているといっても過言ではありませんが、細かな部分で 違いがあります。ここでは麒麟の顔に焦点を当てて紹介していこうかと思います。
○みどころ
麒麟の顔で違いが出てくるところは角である。まずは一角か二角かの違いであるが、
管理人が見てきた麒麟は一角のほうが断然多い。また、一角でも種類があり、途中で
枝分かれするものとそうでないものがある。
顔を見ると気になるのがナマズのような髭である。この有無は管理人が見た限りでは
五分五分である。
年代による違いは今のところは見出されない。「鳥獣戯画」の麒麟は装飾彫刻に見る麒麟と
まったく姿が異なるが、１２世紀〜１６世紀までの間にどのような変化があったのか、
今のところはつかめきれていない。これは建築に彫刻をいつから施すようになったのか
がわからないのと同じく、今後の調査課題である。
○鳥獣戯画の麒麟
平安時代末に描かれた「鳥獣戯画」の乙巻には二頭の麒麟が描かれている。その顔を見ると
片や虎のような顔に一角。一角の先端には雲のようなものがついている。髭は一切なく、
牙はある。ただ、顔が丸いため、別の動物とも勘違いしそうな姿である。
片や馬のような顔に一角。ところが角は剣の形状をしている。髭や牙はない。
双方とも頸がここで紹介する麒麟に比べて長く描かれているのが特徴。
○中山寺本堂の麒麟（兵庫 １６０３年）
彩色は緑。顔は龍に酷似しており、髭を生やす。角は一角で途中で枝分かれしている。 眼は丸く、牙らしいものが見える。 全体像はこちら。
○北野天満宮拝殿の麒麟（京都 １６０７年）
彩色は青、あごひげはあるが、髭はそれだけ。角を見ると一角。眼は丸く、牙はない。 全体像はこちら。
○西本願寺唐門の麒麟（京都 １７世紀）
彩色は金、あごひげと髭があり、あごは彫刻、髭は金属。角は一角で枝分かれ、目は丸く、牙はない。 髪が巻いておらず、ストレートであるのが特徴。
○日光東照宮陽明門の麒麟（栃木 １６３６年）
彩色は緑、髭は一切なく、角は一角であるが枝分かれしない。眼は丸く、牙はない。
○浅草神社社殿の麒麟（東京 １６４９年）
彩色は青、髭があり、角は二角で枝分かれする。眼は丸く、牙はない。
○大猷院霊廟仁王門の麒麟（栃木 １６５１年）
彩色は緑、髭は一切なく、角は一角であるが枝分かれしない。眼は丸く、牙がある。
○高尾山薬王院飯綱権現堂の麒麟（東京 １７２９年）
彩色は緑、髭は一切なく、角は一角であるが枝分かれせず、しかも短い。眼は丸く、牙がある。 全体像はこちら。
○高岡御車山木舟町の麒麟（富山 １８５６年）
彩色はなく、漆塗り仕上げ。髭はあり、あごひげのようなものも。角は一角であるが枝分かれせず。 眼は丸く、牙らしきものが見える。 全体像はこちら。
○高岡御車山二番町の麒麟（富山 １９世紀？）
飾金具なので彩色はなく、鍍金（ときん）仕上げ。髭はあり、角は一角で枝分かれする。 眼は丸い。牙は見当たらない。同じ高岡御車山の麒麟でも、時代の違いか、下絵の流派の違いか、 図像の違いが見られる例。
○高山祭（春）鳳凰台の麒麟（岐阜 １９世紀？）
彩色は赤。髭はなく、角は一角で枝分かれしない。小さいながらも牙が認められる。 やはり眼は丸い。
○日本橋の麒麟（東京 １９１１年）
銅像であるので彩色はない。髭はあり、角は一角で枝分かれする。眼は丸い。牙は見当たらない。
顔を見る限りでは麒麟であるが、全体像を見ると翼があったり、足が蹄ではなく爪であったりと
麒麟の図像と異なる点が見出される。
全体像はこちら。
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