○撮影場所:茨城県稲敷市 大杉神社
〇制作年代:正徳年間(1711〜1716)
場面は、三兄弟(どれが誰か特定できないが)が花蘇芳の前で
遺産相続の相談をしているところ。木は枯れている様子がないので、
相続相談している最中であろう。
・その他田真・田広・田慶の姿:新湊曳山祭奈呉町山
■物語(中国二十四孝)
中国二十四孝に出る三兄弟。
親が亡くなり、三人は遺産相続をする。そこで庭に生えていた花蘇芳(はなすおう)も
その対象になり、夜中まで三人で相談し、切って分けることにした。
ところが次の日、花咲き乱れていたこの木は枯れてしまった。
「木にも心があって、切ろうと思ったのを知って枯れたのだ」そう思った三人は
切るのをやめる。すると木はもとどおり花咲き乱れる姿に戻ったと言う。
・『今昔物語集』巻第9の27
「震旦の三人兄弟、家を売りしに荊(うばら)の枯るるを見て、値を返して返り住めること」
・中国二十四孝 田真・田広・田慶(日本古典文学大系『御伽草子』)
此三人は兄弟なり。親に後れて後、親の財宝を三つに分けて取れるが、庭前に紫荊樹とて、
枝葉栄へ、花も咲き乱れたる木一本あり。これをも三つに分けて取るべしとて、夜もすがら
三人僉議しけるが、夜のすでに明けければ、木を切らんとて、木のもとへ到りければ、昨日まで栄へたる木が、
にはかに枯れたり。田真これを見て、「草木心ありて、切りわかたんといへるを聞いて、枯れたり。
まことに人として、これをわきまへざるべしや」とて、わかたずして置きたれば、また再びもとの
如く栄へたるとなり。