○撮影場所:東京都葛飾区 柴又帝釈天(題経寺)帝釈堂
○制作年代:大正末期〜昭和9(1934)年
■概説
この彫刻では二つの話があり、ここでは左下を除く、法華経の功徳について紹介する。
「薬王菩薩本事品」には法華経の様々な功徳について書いてあるが、この彫刻ではそのうち
暗闇の中の光(左上)、渡りに船(中央)、寒さの中で得た焚き火(中央下)、子どもの不安を
拭い去る母(右)が現わされている。
・『法華経』薬王菩薩本事品第二十三(岩波文庫『法華経』下)
宿王華よ、この経はよく一切衆生を救うものなり。この経はよく一切衆生をして、
諸の苦悩を離れしむるなり。この経はよく大いに一切の衆生を饒益して、その願を
充満せしむること、清涼の池のよく一切の諸の渇乏せる者を満たすが如く、寒き者の
火を得たるが如く、裸なる者の衣を得たるが如く、商人の主を得たるが如く、
子の母を得たるが如く、渡りに船を得たるが如く、病に医を得たるが如く、暗に燈を
得たるが如く、貧しきに宝を得たるが如く、民の王を得たるが如く、賈客の海を得たるが
如く、炬の暗を除くが如く、この法華経もまた、かくの如し、よく衆生をして
一切の苦、一切の病痛を離れ、よく一切の生死の縛を解かしむるなり。