○撮影場所:埼玉県長瀞町 宝登山神社拝殿
○制作年代:明治7(1874)年
裸で氷を融かし、魚を捕る王祥。
■物語(中国二十四孝)
王祥は母を失ったが、父が再婚し、義理の母が来た。義理の母は
王祥を疎んじていたが王祥は気にせず、それどころか孝行を尽くしていた。
ある冬の日、義母が魚を食べたいといい、王祥は魚を捕りに川へ行ったが、川は凍って
いた。そこで王祥は裸になり、氷の上に臥して悲しむと、氷が解け、魚が出てきた
という。
・中国二十四孝 王祥(日本古典文学大系『御伽草子』)
王祥は、いとけなくして母をうしなへり。父また妻を求む。其名を朱氏といひ
侍り。継母のくせなれば、父子の中をあしくいひなして、憎まし侍れ共、うらみとせず
して、継母にもよく孝行をいたしける。かやうの人なる程に、本の母冬の極めて寒き折ふし、
生魚をほしく思ひける故に、肇府と云所の河へ、もとめに行侍。されども冬の事なれば、
氷とぢて魚見えず。すなはち衣をぬぎてはだかになり、氷の上に臥し、魚なき事を
悲しみゐたれば、かの氷すこしとけて、魚二つ躍り出でたり。則取て帰、母に与え
侍り。是ひとへに孝行の故に、そのところには、毎年人の臥したるかたち、氷の
上にあるとなり。