○撮影場所:茨城県稲敷市 大杉神社
〇制作年代:正徳年間(1711〜1716)
袁術から橘の実をもらう陸績。
■物語(中国二十四孝)
陸績(188〜219)は中国後漢末期の武将。
陸績が6歳の時に袁術(?〜199)のもとを訪ねた。袁術は橘の実を
準備していたが、それを三つ、袖の下に入れて帰ろうとしたところ、袖の下から
落してしまった。袁術は「幼いのに似合わないことをする」と言うと、陸績は
「見事な橘の実だったので、家に帰って母に食べさせようとしたのです」と言った。
それを聞いた袁術は、その孝行の気持ちを褒めたのであった。
・中国二十四孝 張孝・張礼(日本古典文学大系『御伽草子』)
陸績、六歳の時、袁術といふ人の所へ行侍り。袁術陸績がために、菓子に
橘をいだせり。陸績これを三つ取りて、袖に入れて帰るとて、袁術に礼をいたすとて、
袂より落せり。袁術これを見て、「陸績殿は、幼き人に似あはぬこと」と、いひ
侍りければ、「あまりに見事なる程に、家に帰り、母に与へんためなり」と申し侍り。
袁術これを聞きて、幼き心にて、かやうの心づけ、古今まれ也と、ほめたる
となり。さてこそ天下の人、かれが孝行なることを知りたるとなり。