■概要
中国で古くから信仰されてきた、道教系の
女仙。それに対して、東王父(とうおうふ)と
いう仙人もいる。
中国の伝説の生き物などが書かれている『山海経』には化け物のように書
かれているが、本によって記述がまちまちである。
特に多いといわれる
のが漢の武帝(前156〜前87)との逸話である。
西王母は黄金の桃を持つといわれ、これを食すと
不老長寿になるという。桃自身にも魔よけや長寿の意味があるとされ、
それらが組み合わされた結果ではないかと思われる。
・『山海経』第二 西山経(現代語訳)
西王母はその状、人のようで豹の尾、虎の歯でよく嘯き、おどろの髪に玉の勝
(かんざし)をのせ、天の氏iわざわい)と五残(五刑)を司る。
・謡曲「西王母」(野上豊一郎『解註謡曲全集1』)
かかる天仙驪王の、来臨なれば数数の、孔雀鳳凰迦陵頻伽、飛び廻り声声に、立ち舞ふや袖の
羽風、天つ空の衣ならん天の衣なるらん。
色色の捧げ物、色色の捧げ物の、中に妙に見えたるは西王母のその姿、光庭宇をかかやかし、
紅錦の御衣を着し、剣を腰に下げ、剣を腰に下げ、晨纓の冠を被、玉觴に盛れる桃を侍女が手より
取りわたし(後略)