○撮影場所:東京都八王子市 高尾山薬王院大本堂
○制作年代:明治34(1901)年
琴高との違いは鯉の姿の違い。『列仙全伝』の挿絵がこれに酷似している。
■概要
琴高とならぶ鯉乗り仙人であるが、管見の限りではこの一件のみである。
鯉の姿を見ると角が生えており(子英が握っている)、鰭が羽のようになっている。
これは『列仙伝』や『列仙全伝』に伝わる話と一緒であるので、子英と判断できる。
■物語(『列仙伝』より)
子英は舒郷のひとであった。
ある日、子英は赤い鯉を捕まえ、飼いだした。鯉は一年すると角が生え、翼を持ち、子英は気味が悪くなったので
拝礼すると、鯉が「一緒に天へ昇ろう」と言い出した。
子英は鯉に乗り、昇天していった。
■図像
・『有象列仙全伝』(慶安3【1650】年刊)
・林守篤『画筌』(正徳2【1712】年自序、享保6【1721】年刊)
・橘守国『絵本故事談』4巻(正徳4【1714】年)
詞書に「ある時赤き鯉を得たり、その色のよきを愛して、これを池中に養ふこと一年にして
長一丈余となり、角と翼を生ず。子英あやしみて、是を拝謝す。鯉ものいふていはく
「われ来て、汝を迎へ倶に天へ昇らん」とすなはち大に雨ふる。子英鯉に乗て飛されり」
とあり、角と翼の生えた鯉に乗る子英の姿が描かれている。
■出典・参考
・『列仙伝・神仙伝』平凡社ライブラリー