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舜王(しゅんおう)

舜

○撮影場所:埼玉県長瀞町 宝登山神社拝殿
○制作年代:明治7(1874)年
中国二十四孝としての舜王は子どもの姿、象と小鳥の組み合わせである。
・舜王の姿:舜百態

■概要
中国伝説上の聖王にして、尭王と並ぶ理想の君主。
舜は家族から酷い仕打ちを受けていたにもかかわらず、孝行を尽くしていた。 それを尭が聞きつけ、摂政とさせ、最後には王位を禅譲した。
装飾では二十四孝の一人としてみることがほとんどで、象が田を耕し、 鳥が田の草をついばみ、舜が童形の姿でいることが定型である。

出典・参考

・中国二十四孝 大舜(日本古典文学大系『御伽草子』)
大舜は至つて孝行なる人なり。父の名は瞽叟といへる。一段かたくなにして、母は かだましき人なり。弟は大ひにおごりて、いたづら人なり。しかれども大舜は、ひたすら孝行 をいたせり。ある時、歴山と云所に、耕作しけるに、かれが孝行を感じて、大象が来つて、 田を耕し、又鳥飛来つて田の草をくさぎり、耕作の助をなしたるなり。さて其時天下の御主をば、 尭王と名づけ奉る。姫君まします。姉をば娥皇と申し、妹は女英と申し侍べり。尭王すなはち舜の 孝行なることをきこしめし及ばれ、御女を后にそなへ、終に天下を譲り給へり。 これひとへに孝行の深き心より起れり。

・『論語』「泰伯第八」(岩波文庫版)
「巍々たるかな、舜・禹の天下を有(たも)てるや。而(しこう)して与(あずか)らず。」
・同上
「舜、臣五人ありて、天下治まる。」
・同「顔淵第十二」
「舜、天下を有(たも)ち、衆に選んで皐陶を挙げしかば、不仁者は遠ざかれり。」
・同「憲問第十四」
「己を修めて以て百姓を安んずるは、尭・舜もそれ猶これを病めり。」
・同「衛霊公第十五」
「無為にして治まる者はそれ舜なるか。それ何をか為さんや。 己を恭しくして正しく南面するのみ。」
・同「尭曰第二十」
(尭が言うには)「ああ、爾(なんじ)舜、天の暦数、爾の躬(み)にあり。 まことのその中を執れ。四海困窮。天禄永く終えん。」

・『懐風藻』紀麻呂の詩「春日 詔に応ず」(講談社学術文庫版『懐風藻』)
天徳 尭舜を十にし 皇恩 万民を霑(うるお)す
※紀麻呂:?〜705
・同上 采女比良夫の詩「春日宴に侍す 詔に応ず」
道を論ずれば唐と儕(ひと)しく 徳を語れば虞と隣(なら)ぶ
周の尸(かばね)を埋む愛に冠し 殷の網を解く仁に駕す
(唐が尭、虞が舜、周が文王、殷が湯王を指す)
※采女比良夫:生没年未詳

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