○撮影場所:愛知県常滑市 常滑祭保楽車
○制作年代:大正年間か? 彫常作
手に玉手箱を持っているので、竜宮城から帰る所か。まだ青年の姿。
■概要
源流は『日本書紀』『風土記』にある浦嶋子。室町時代の『御伽草子』にもある。
亀を助けて竜宮城へ、帰って玉手箱を開けた瞬間老人になってしまったという
話はあまりにも有名だが、亀が乙姫になるとか、老人になった後鶴になって飛翔するとか、
諸本によって異なる。仙人や長寿伝説が見え隠れしている。
数ある昔話の中でも浦島太郎を装飾に使うことが多く、これは「浦島太郎=鶴
(玉手箱を開けた後老人になり、そして鶴になって飛び立ったという)」と「乙姫
=亀」という組み合わせ(鶴亀)から用いられたのではないかと思われる。
・正徳4(1714)年『絵本故事談』巻之三 浦嶋子(『江戸怪異綺想文学大系』3)
雄略天王二十二年秋七月、丹州余社の郡管川の人、水江の浦嶋が子といふ者、舟に
乗て釣を垂る。遂に大なる亀を得たり、化して女となる。浦嶋が子感じて夫婦となる。
相伴て海に入、蓬莱山に至り、三百四十余年を歴て淳和帝天長二年に帰る。別るに及で婦
玉手箱を与へいましめていはく、「開ことなかれ」と浦嶋が子帰りて、未審くや有けん、
箱を開ければ、中より煙たちのぼり、其時浦嶋が子若き形を変じて忽白髪の老翁となれり。
世俗にあけてくやしき玉手箱といふ、是なり。