○撮影場所:茨城県稲敷市 大杉神社
〇制作年代:正徳年間(1711〜1716)
父のために北斗七星に祈るユ黔婁。
■物語(中国二十四孝)
ユ黔婁はある日胸騒ぎがして、父が病にかかったと思って、官位を捨てて故郷に
戻った。医師に病状を聞くと、父の大便を嘗めて味が甘ければ大丈夫と言われたので、
ユ黔婁は躊躇なく嘗めた。すると苦い味がしたので、父の死が近いことを感じ取った
ユ黔婁は北斗七星に身代わりを願ったのであった。
・中国二十四孝 ユ黔婁(日本古典文学大系『御伽草子』)
ユ黔婁は南斉の時の人也。孱陵といふところの官人になりて、すなはち
孱陵県へ至りけるが、いまだ十日にもならざるに、たちまちに胸騒ぎしける程に、
父の病み給ふかと思ひ、官を捨て帰りければ、案の如く大に病めり。黔婁、医師に
よしあしを問ひければ、医師、病者の糞を嘗めてみるに、甘くにがからばよかるべし
と語りければ、黔婁やすき事なりとて嘗めてみければ、味はひよからざりける程に、
死せんことを悲しみ、北斗の星に祈りをかけて、身代りにたたんことを
祈りたるとなり。