○データ
・場所:京都府京都市上京区 北野天満宮拝殿・本殿
・年代:慶長12(1607)年 豊臣秀頼による
・装飾箇所:木鼻 手挟 蟇股 唐破風
・国宝
北野天満宮は全国の天満宮の筆頭に立つ神社で、祭神は菅原道真です。
平安時代以降の歴史を誇る神社ですが、今の社殿は豊臣秀頼(1593〜1615)
による造営です。
北野天満宮の社殿は少々複雑にできており、拝殿と本殿の間を石の間というところがつなぐ、
いわゆる「権現造(ごんげんづくり)」と呼ばれる形態です。豊臣秀吉を祀っていた豊国廟、徳川家康
を祀る日光東照宮などが該当する様式です。
さて、装飾ですが、拝殿正面の向拝唐破風には菅原道真を表わす牛、手挟には鸞(別の鳥の可能性あり)、
鳳凰、天女、迦陵頻伽、木鼻には獅子と虎、蟇股には獏×2、海馬、龍、虎、麒麟があります。
拝殿正面(向拝奥)蟇股は桃、亀乗り仙人、鉄拐先生、王子喬、菊慈童、蝦蟇仙人、王質、瓜。
拝殿右側蟇股は鴨×2、鷺×2、松に楓、雀、鶯、亀。本殿右側蟇股は鳳凰×2、鶴×2、本殿後方蟇股は
リス×2、鸞×2、梅。本殿左側は脇殿に当たるためか、無。拝殿左側はタンポポ、孔雀、松と梅、
鴛鴦、牡丹、栗、鶯、万年青、雀とあります。
仙人は神と人の間を表現しているでしょうか。神社に天女などはおかしいかもしれませんが、神仏習合の名残。
鶴は神々の乗り物、鳳凰や鸞は霊鳥。後が何を示すか、ただの飾りなのか、何らかの意味があるのか、
考えていく必要がありそうです。