○データ
・場所:栃木県真岡市 大前神社
・年代:拝殿・幣殿は17世紀末、本殿は宝永4【1707】年
・国指定重要文化財
大前神社は神護景雲年間【767〜770】の再建とされ、これ以前の歴史があると伝承されています。
現在ある本殿は天正5【1577】年再建のものを宝永4【1707】年に改修、拝殿・幣殿は元禄元【1688】年
の再建です。
装飾彫刻を見ていきますと、まず拝殿正面の龍に目が行きます。龍が二体、絡み合う姿は圧巻で、この部分しか
装飾彫刻はないものの、これだけで十分と思わせるもの。
本殿は特に目立つのが地紋彫の壁面です。柱に地紋彫が施される例は多数ありますが、壁面にここまで施すものは
他にはないかと思います。
装飾彫刻は一見すれば多く見えますが、実際はバランスよく施されています。これで壁面にも地紋彫ではなく
動植物が施されていたならば、また金が多用されていたならば妻沼聖天山や日光東照宮などを思わせる姿となった
のでしょうが、それがないだけで落ち着いた雰囲気にさえ感じてしまいます。
装飾彫刻には水にまつわるもの(龍・犀・波に兎)、仙人が多用されているのも大前神社の特徴です。