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陰陽五行の世界 五行配当・相生・相剋

物事は五つの要素(木・火・土・金・水)に分けることができるというのが「五行」です。 では実際にどのように分けられるのでしょうか。また、どのようなつながりがあるのでしょうか。
ここでも吉野裕子『ダルマの民俗学』(岩波新書 1995年)を参考にしつつ、五行配当・相生・相剋について考えようと思います。

五行配当表

突然ですが、表を提示します。但し、装飾意匠の理解に必要な部分だけチョイスしています。

五行
五色
五方 中央 西
五時 土用
五虫
十干 甲・乙 丙・丁 戊・己 庚・辛 壬・癸
十二支 寅・卯・辰 巳・午・未 辰・未・戌・丑 申・酉・戌 亥・子・丑
1・2・3 4・5・6 7・8・9 10・11・12

この表は縦からも横からも読みこなせなければ使えません。
ここで特に補足しなくてはならないものに「五虫」というのがあります。これは 「五種類の生物」と捉えます。「鱗」は「うろこ」のある動物なので魚類・爬虫類、 「羽」は「はね」のある動物なので鳥類と昆虫でも羽根を持つもの、「裸」は人間、 「毛」は「毛」のある動物なので獣(けもの)一般、そして「介」は「貝」なので 貝類を指します。
但し、一応これが基本となるのであって、複合的に絡み合うのでややこしいことだけ ご承知置きください。たとえばこれに四聖獣をあてはめれば左から順に青龍・朱雀・−・ 白虎・玄武となるのですが、なぜ「貝」のところに亀、しかも蛇の巻きついたものが?と なるのです。
また、十二支と陰陽五行はもうひとつパターンがあるので後で紹介します。
ちなみに、図にしてみると以下のようになります。

五行表

五行相生

五行相生とは、五行はただあるのではなく、それぞれ相生(あいしょう)ず、つまり つながりがあるということです。これもあげてみましょう。

木生火、火生土、土生金、金生水、水生木

これをわかりやすくいいますと、
木は火を生み、火は土を生み、土は金を生み、金は水を生み、 水は木を生むということになります。連想ゲームのようなものと考えてもいいかもしれません。
例えば、木と木をすり合わせれば火が、火は燃えて灰(土)が、土を掘れば金属が、 金属が汗をかけば水が、水があれば木が、ということです。

五行表

これを基礎として、日本神話や民俗にはいろいろなものが隠れていると言われます。 ただ、何度もいうように複雑に絡み合っているのですんなりと出てこないのが難しい。

五行相剋

五行相剋(そうこく)は、五行相生の逆で、今度はじゃんけんを連想してもらえばと思います。

水剋火、火剋金、金剋木、木剋土、土剋水

これをわかりやすくいいますと、
水は火に勝ち、火は金に勝ち、金は木に勝ち、木は土に勝ち、 土は水に勝つ、ということになります。水は火を消す、 火は金属を溶かす、金属(刃物)は木を伐る、木の根は土を絡めている、 土(土のう・堤)は水の行く手を遮る と言うことになりましょうか。

五行表

類似したもの、五大

「五行」と類似したものとして「五大」というものがあります。五行が中国発祥の 論に対し、五大はインド発祥の思想です。この五大を順に挙げると 地・水・火・風・空となります。ちなみに意味を以下にあげます。

・地:大地、固いもの、動きや変化に抵抗
・水:流れるもの、変化に適応する
・火:情熱、何かをするための動機付け
・風:成長や拡大
・空:宇宙のこと、仏教に言う「空の思想」の空でもある

例えばこれが使われているものとして「五輪塔」というものがあります。五輪塔は 5つの部品からなり、下から「地・水・火・風・空」を表現していますし、その部品に 漢字で、もしくは梵字で書いてある(ちなみに発音は「キャ・カ・ラ・バ・ア」です) ことがあります。

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