破風(はふ)とは、日本建築の装飾になくてはならないもので、寺院・神社を問わず、
和風建築ならば見かけるものです。大まかに言えば破風の種類は3種類、
屋根の形によって名前が変わります。
まずは一番わかりやすい唐破風から。
写真は奈良県奈良市の東大寺大仏殿。黄で囲んだ部分が「唐破風(からはふ)」という部分です。
屋根が弓なり状になっているのがわかると思います。
唐とは中国の意味ですが、どうやら中国にはないらしい。
この唐破風が門についていれば「唐門」、屋根の軒と一体化していれば「軒唐破風」
となりますが、唐破風とはこんな形と覚えておくと、すぐわかります。
写真は石川県金沢市西別院。青で囲んだ部分が「入母屋破風(いりもやはふ)」で、
黄で囲んだ部分が「千鳥破風(ちどりはふ)」です。さて、何が違うのか?
入母屋破風は建物の構造上必要なもので(このつくりを入母屋造りといいます。)、
建物と一体化していますが、千鳥破風はあくまでも装飾的なもので、なかったとしても
具合が悪くないものです。そういうと、唐破風もなくても具合の悪くないものです。
まとめとして京都府京都市北野天満宮三光門をみましょう。
青で囲んだ部分が「千鳥破風」、黄で囲んだ部分が「唐破風」、そして、赤で囲んだ部分
(横から見ればもっとわかりやすいのですが)が「入母屋破風」となるわけです。
この形を覚えておきますと、城郭建築を見るときなども役に立ちます。
この破風、建物が大きく見える、上昇感が出るというのでつけられ、特に江戸時代以降は
必ずといっていいほどつけるようになりました。ですので、「唐破風」と「千鳥破風」を
見かけたときは、それだけで時代が少しわかる、目印となります。