十二支とは、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥 の漢字で表わされる順序 のことです。それぞれ音・訓の読み方があり、今は訓読みで読むほうがなじみ深いかと思います。 ちなみに読み方は以下の通り。
○音読み
シ・チュウ・イン・ボ・シン・シ・ゴ・ミ・シン・ユウ・ジュツ・ガイ
○訓読み
ね・うし・とら・う・たつ・み・うま・ひつじ・さる・とり・いぬ・い
○動物
鼠・牛・虎・兎・龍・蛇・馬・羊・猿・鶏・犬・猪
もともとは順序を表わしているものですから、特定の動物などと結びつきなどは
なかったのですが、いつのころからか、結び付けられるようになりました。
十二支はさまざまなものに用いられますが、装飾でも用いられます。特に、
方角と十二支は関係がある場合が多いです。
十二支が装飾に使われるとき、方角にあわせて蟇股などにつけられる場合が
多いです。ですが、建物の方角によっては少しずらしてこのような順序につけたり、
時には建物の都合で子と丑を一緒にしたりする例なども見られます。
また、方角など何も関係なく、ただつけているパターンもあります。
・方位を守る
建物の周囲に配することによって、聖域を守るといわれています。
・個人の生年
日光東照宮では虎・兎・龍の彫刻が数多く見られます。
虎は徳川家康の、兎は徳川秀忠の、そして龍は徳川家光の生まれ年の十二支を表わしているそうです。
・純粋な飾り
意味を持つわけでなく、純粋に飾りとして使うパターン。
○古墳の装飾壁画
日本国内では現在のところ奈良県明日香村のキトラ古墳の1例のみですが、墳墓の内部(石室)
に十二支を書く例が見られます。キトラ古墳の場合は、獣頭人身で描かれており、6体が
確認されています。その確認されたものから考えますと、
北面…猪・鼠・牛、東面…虎・兎・龍、南面…蛇・馬・羊、西面…猿・鶏・犬(の獣頭人身)
となり、おおよそ方位と十二支が一致しています。また、十二支とともに四神(四霊)
がそれぞれの方角に描かれ、天井には星宿図があることにも注目していいでしょう。
○十二神将
薬師如来を守る武将の姿をした像。中心に薬師如来を配し、その周囲におくパターン
や、中心に薬師如来、左右に6体ずつ配するパターンなどがあります。
もともと動物の十二支とは関係なかったのですが、仏像を見ますと、十二神将の頭上に
それぞれの動物を配する姿がでてきます。
現在遡れる例は平安時代中期、絵画でも彫刻でも見ることができます。
○建築
寺社仏閣の欄間や蟇股に用いたりするケースがほとんど。曳山でも十二支の彫刻
が見られるパターンが多いです。また、十二支として用いられても、単体としてほとんど
使わない動物(蛇・馬・羊・犬・猪)もあります。
今のところ現存最古の建築における十二支彫刻は大阪市天王寺区の勝鬘院多宝塔で、
1597(慶長2)年、豊臣秀吉による再建です。