蟇股とは、2本の水平材の間にあり、建物の構造上意味のあるものでした。
ところが、本来の意味が忘れ去られ、装飾の施される場所となりました。
蟇=カエル、つまりカエルの股のような形をしているので蟇股と呼んでいます。
内側をくりぬいていないものを板蟇股、くりぬいてあるものを透 蟇股(すかしかえるまた)といいます。一般的にくりぬいていないほうが古いといわれていますが、 もちろん例外もあります。
写真(金沢市 専光寺)を御覧のように、これは板蟇股なのですが、内側が 物寂しいです。ですので装飾が施されるようになったと考えられます。最初は 内側に落ち着くように、しかも地味な装飾だったようです。
ところが、桃山時代になると状勢が変わってきました。内側いっぱいに彫刻を施す
ようになりました。動物・霊獣など躍動的なものも多数出てきたのがこの時期。
もちろん、彩色もします。ただただ驚くばかりの姿です。
写真は京都市北野天満宮拝殿の蟇股。龍ですが、もう蟇股の外に出そうです。
江戸時代中期以降になると、その度は過激になり、ついに蟇股の外に彫刻が出ました。 しかも、蟇股には何も彫刻をせずに、蟇股につける形で装飾が行われました。 先ほどの板蟇股、実は彫刻が置いてあったようです。これも専光寺の写真ですが、 彫刻がはみ出ています。彫刻が確認できなかったのは、先ほどのモノのみです。
以上、駆け足で蟇股を紹介してきました。 蟇股のあるところ、必ずといっていいほど彫刻が施してあるので、是非とも御覧下さい。