○撮影場所:富山県高岡市 勝興寺本堂(蟇股)
○制作年代:明治末期
解豸と思われる装飾彫刻はそれなりにあるが、断定が難しい。
便宜上、麒麟に似た形相の解豸を「麒麟形の解豸」とする。
■概要
伝説の霊獣。公平な裁判が行われるときに現れるとされる。
『和漢三才図会』では『三才図会』の引用として「状(かたち)
は羊に似ていて一角四足」とあり、その挿絵は一角に麒麟のような姿、
足は蹄ではなく、獅子のような足である。
■特徴
・角は一角、顔は麒麟に近い
・牛、もしくは獅子や麒麟のような体つき
・体毛は獅子のようにカール
・炎をまとう
・足は獅子や虎に似る(蹄はなく、いわゆる獣の足)
・類似:麒麟 唐獅子
・詳しくは拙レポート解豸像の再検討と課題‐絵手本・彫刻などを基に‐(pdfファイル)をご覧ください
■来歴
公平な裁判が行われる時に姿を現すとされ、近代裁判官の装束に
「解豸冠(かいちかん)」と呼ばれるものがある。
ところが、装飾として使われる形跡が少なく、『和漢三才図会』の図を
見る限りでは、麒麟のような顔に獅子の身体を足したような姿になっており、
『頭書増補訓蒙図彙大成』でもそのような表現がされている。
それなりには知られていた様だが、装飾として使えない理由があったのだろうか。
日光東照宮内にこの姿をした装飾があるといわれるが、見極めが難しい
とのこと。
中国清朝では都御史(検察官)の印として使われた。
・正徳2(1712)年『和漢三才図会』巻第三十八 獣類 解豸(ワイド版東洋文庫『和漢三才図会』6)
『三才図会』に、東望山に解豸がいる。神獣である。よく邪悪に反応する。状は羊に似ていて一角四足。王者の
獄訟が公平に行われれば姿をあらわす、とある。
・高藤晴俊『図説社寺建築の装飾』
・高橋幹夫『絵で知る江戸時代』
・『中国五福吉祥図典 禄』