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犀(さい)

犀

○撮影場所:京都市上京区 北野天満宮三光門 (蟇股)
○制作年代:慶長12(1607)年
一説には「海馬」といわれているが、「犀」と「海馬」の区別方法がわからない。 また、「天鹿」という説もある。組み合わせは雲と波。

■概要
実際の犀を基にされた伝説の霊獣。
その姿は馬のような体に甲羅を背負い、水辺を走るという、実際の犀とは 全く違うものである。

■特徴
・角(一角、二股ではない)がある
・一見すると馬や鹿のよう
・甲羅、蹄(ひづめ)がある
・組み合わせ:波(水)
・犀の姿:犀百態

■来歴
あくまでも今見かける「サイ」ではなく、霊獣としての「犀」である(「麒麟」と同じ)。
正倉院宝物の琵琶に犀の絵が描かれていたり、「鳥獣戯画」 (亀のように見えるが、耳があることから、きっと犀だろう)にも現われるが、 主に建築彫刻で境界線を示す場所にあることが多い。
しかし、「海馬」(海馬と言うと、タツノオトシゴのことになるが・・・)といわれたり、 「天鹿(てんろく)」(『延喜式』にある)といわれたりとまちまちで、一定しない。いわゆる「サイ」とは まったく別の姿で、霊獣と化したものと考えてよいだろう。

■意味
建築彫刻では門や塀などに彫られているのがほとんどである。 つまり、人が通るところの真上(欄間・蟇股)や横(塀)に飾られている例が多い。 日光東照宮では石の間の扉上に犀が多数彫られている。これらから境界線、境目に 位置するところに彫られているのが分かる。聖域守護といえそうだが、 唐獅子などに比べてもっと限定された意味での守護という意味がありそうである。
但し、曳山彫刻でもこのような姿の彫刻があり、水にちなんだ意味(火除け) なども吟味しなくてはならないと思われる。

出典・参考

・高藤晴俊『図説社寺建築の装飾』

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