○撮影場所:栃木県日光市 日光東照宮上神庫
○制作年代:寛永13(1636)年
狩野探幽下絵の「想像の象」。蔵と象の語呂合わせ。
※もう一体の想像の象はこちら
・象の姿:象百態
■概要
哺乳綱ゾウ目ゾウ科。陸に棲む哺乳類では最大の動物。アフリカ種・インド種に分類。
日本には生息していないが、仏教伝来以降、馴染みのある動物である。
■特徴
◎装飾彫刻では獏と見間違え易いが、三日月形の眼、大きな耳で判別できる。
・鼻が長く、目が小さい(三日月形)、牙を持つ
・類似:獏
■来歴
陸に棲む哺乳類最大の動物。日本では「きさ」と呼ばれた。
日本にはもともといない動物で、仏教の知識とともに伝来したかと思われる。
普賢菩薩の乗物として有名であり、法隆寺金堂に描かれた姿が日本における象の最古であろうか。
その他涅槃絵などでも描かれるが、単体で描かれた著名な例として、鳥獣戯画が挙げられる。
しかし実際見たものはおらず、江戸時代、徳川吉宗(1684〜1751)に象が献上されるまで、想像で象が描かれたり、
彫刻されたといってもいいだろう(但し、象は室町時代に一度来日している)。
■意味
中国では「象」の音が「祥」に通じることから、吉祥の象徴とされている。
その巨大さからか、聖地守護の意味が考えられる。
・『延喜式』巻二十一 治部省 祥瑞 上瑞(『国史大系』26)
「白象 その形、皎身にして六牙。」
・高藤晴俊『図説社寺建築の彫刻』
・『中国五福吉祥図典 喜』