○撮影場所:富山県高岡市 高岡御車山祭御馬出町山
○制作年代:天保13(1842)年
謡曲・能として「鉢木」は著名だが、装飾などではほとんどないのでは
ないだろうか。
装束は「鉢の木」にちなんで梅・桜・松の文様。
■物語(謡曲「鉢木」)
能「鉢の木」に出てくる武士。
雪に路を阻まれた全国行脚の修行僧が宿としたのが、
落ちぶれた佐野源左衛門の家であった。
彼は修行僧の暖に秘蔵の梅、桜、松を
火にくべ、ありったけの接待をする。
この僧は実は鎌倉幕府5代執権北条時頼で、鎌倉に戻り、
全国の武士に鎌倉召集の命令を出す。佐野源左衛門尉
は一番乗りをし、時頼はその志を褒め、梅、桜、松の
御礼分と、失っていた領地を回復させ、与えたという。
・謡曲「鉢木」(野上豊一郎編『解註謡曲全集4』)
(僧の寒さを何とかするために佐野源左衛門尉が)某もと世にありし時は、
鉢の木に好きて数多持ちて候えども、さんざんの体に罷りなりて候間、いやいや
木好きも無益と存じ、皆人に参らせて候。さりながら未だ三本持ちて候。梅・桜・松
にて候。これは某が秘蔵にて候えども、今夜のおもてなしに、この鉢の木を伐り火に
焚いてあて申そうずるに候。
・関連:能の人物