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鸞(らん)

鸞

○撮影場所:京都市中京区 二条城二の丸御殿車寄(欄間)
○制作年代:寛永3(1626)年
鳳凰のようにも見えるが、桐や竹がないことから別の鳥と考えてもいいだろう。 鸞という確証はないが、『図説 社寺建築の彫刻』をもとに、鸞とした。

■概要
伝説の瑞鳥。しかし、鳳凰に比べると見かける機会も少なく、存在も薄い。
『和漢三才図会』では『三才図会』の引用で、「鸞は神霊の精である。赤色で 五采の鶏の形をしており、鳴き声は五音に合っている。…あるいは、鸞は鳳に次ぐ鳥である」 としており、鳳凰に次ぐ存在と位置づけている。

■特徴
◎鳳凰と違い、明確な見分け方が存在しない。鳳凰のような、そうでないようなという 消去法で見るしかない。
・冠羽(頭のとさかのようなもの)がない
・首の飾りがない
・尾羽が帯状、ぎざぎざしていない
・彩色は比較的派手
・組み合わせ:牡丹 など(桐はない)  梅福
・類似:鳳凰
・鸞と思われる姿:鸞百態

■来歴
鳳凰と並ぶ伝説の鳥のはずなのだが、鸞は存在感が薄い。天皇の乗り物を「鸞輿」 というが、時代が下るにつれて忘れられてしまった。
『和漢三才図会』には明らかに 鳳凰と違う図像が鸞として紹介されているが、「鳳凰の羽が青いのが鸞」としている。 また『頭書増補訓蒙図彙大成』でも紹介されているが、図像上はほとんど区別が付かない。 そういうことからも混同されていたと思われるが、鸞という名がある以上、瑞鳥とされていたこと は疑えないであろう。
尚、特徴については高藤晴俊『図説 社寺建築の彫刻』をもとにした。

■意味
瑞兆を表わすだろうが、鳳凰と比べてどちらが上かとかは今のところ判断できない。
鳳凰と組み合わされることがあり(鸞鳳和鳴)、夫婦の親愛に例えられる。

出典・参考

・『山海経』第二 西山経(現代語訳)
「鳥がいる、その状はキジの如くで五彩の文(あや)あり、名は鸞鳥。これが 現れると天下は太平である。」

・『延喜式』巻二十一 治部省 祥瑞 大瑞(『国史大系』26)
「鸞 状、雉のごとし。五綵を以って文となす。」

・『和漢三才図会』
・高藤晴俊『図説社寺建築の彫刻』
・『中国五福吉祥図典 喜』

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