○データ
・名称:西町
・創建不明、現存は明治34(1901)年再建
・昭和33(1958)年解体修理
・昭和53(1978)年、幕などの新調
・昭和54(1979)年、からくり人形新調
・昭和56(1981)年、車輪飾金具など新調
○メモ
西町曳山は海老江曳山で最初に造られた曳山のようですが、創建は不明、天保12(1841)年
に再建されたものの、明治29(1896)年の火災で焼失し、3本の曳山で一番新しい
ものとなっています。この時には新湊曳山の
荒屋町曳山を参考にして造られました。
後に荒屋町曳山が焼失した時、西町曳山が再建荒屋町山の参考になりました。
標識はもとは錨(いかり)でしたが、天保の再建時に打ち出の小槌に改めました。
王様は恵比寿、前人形は唐猿童子といい、唐子がからくりによって猿に変化するという趣向で、北陸地方では
唯一のものです。
彫刻を見ていきますと、前面には鳳凰と龍、後面は鏡板に尉と姥(高砂)と鶴亀、それから順に
鶏、中国二十四孝のうち舜と尭対面の図、唐獅子、虎、龍。
向かって左面は大輪菊、鶏、中国二十四孝のうち閔子騫、唐獅子、亀、龍。
向かって右面は大輪菊、鶏、中国二十四孝のうち楊香、唐獅子、龍(2段分)。
また、下段部分は唐獅子牡丹の幕で覆われており、海老江曳山の中では現在唯一のもの
となっています。
明治以降の彫刻ということもあってかそれぞれが緻密に造られており、技術の成熟が窺える
姿をしています。他の2本に比べれば彫刻の数が多いように感じるかもしれませんが、
それらを比較してみるのもいいかもしれません。