建築などにおける飾りは、見てそのままのモノは分かりやすいですが、ときおり
何者かわからない場合があります。また、何か意味がありそうななさそうな・・・そんな
飾りにも出会うことがあります。ここでは飾りのみかたの初歩として、
1.単体の組み合わせの見破り方
2.全体の組み合わせの見破り方
について紹介したいと思います。
写真は京都市西本願寺唐門の彫刻です。
見ての通り唐獅子に牡丹の組み合わせなのですが、動物を飾りに表現する時は
一定の約束があって、唐獅子の場合は牡丹、それにプラスして蝶がいる場合があります。
もちろん、唐獅子に牡丹を配するのは意味があり、百獣の王ライオン(その東洋版が唐獅子
です)と百華の王牡丹を組み合わせたとも、唐獅子は牡丹の匂いに酔いしれるからとも
いわれています(詳しくは個々のページ、もしくは意匠を読み解くにて)。
また、この組み合わせはよほどのことがない限り崩れることがありません。組み合わせは
多くありますが中には「紅葉に鹿」「鶴に松」など著名なものもあります。
なお、組み合わせについては組み合わせ表を御覧下さい。
建物でも曳山でもいいのですが、全体を見て初めて組み合わせがわかるときがよくあります。
単体で何者かが分かってきたら、つぎは徐々に全体を見ていくことになります。
一番分かりやすい例として十二支が挙げられます。たとえば新湊曳山祭
紺屋町山の飾金具
(蛇
猪
羊
猿を紹介中)は単体で見ればそれぞれの動物ですが、
全体で見ると十二支の表現をしているということが分かります。
全体を見て分かる例として四神・四瑞などを挙げることができますが、
屏風絵や障壁画では春夏秋冬の表現がされていたりします。また、
琴棋書画なども全体を見て初めてわかる
組み合わせといえるでしょう。
初歩から中級にいきそうな内容ですが、建物の使用用途から組み合わせや飾りの意味を
導き出すこともできます。これは意匠を読み解くでも取り上げるべき内容なので
簡単な記述に留めようと思います。
例えばなぜ
獏や
唐獅子を彫るのかというと聖域の守護のためでありますし、
龍や
飛龍
は比較的水に縁のある場所に多く見られます。それが転じて火災防止の意味で用いられたり
することも出てきます。
ただし、十二支や四神などと違い、建物や場所が絡んでくると方位や陰陽五行など
が活用されていることが多く、見破ることは難しくなるといえるでしょう。
ですのでまずは飾りを発見したら何者かを見ていく。そして建物を見渡してみて 飾りがどのあたりに施されているかをみて、何か組み合わせの候補があるかどうか 考えていく。その上で建物の使用用途や方角などを考えていくのがいいかと思います。